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女だから言えること | 引きこもり、精神病からの生還

太ったおじさんみたいなおばあさんの皮肉とメロドラマに満ちた遺言。

愛し合ってない夫婦と、夫婦の賞味期限

ある時、まだ存命の頃の母と話をしていると「母さんは生まれて一度も、男の人を好きになったことがない。」と言い出しました。私が若かった頃の1990年くらいは、もう、「恋愛の着地点としての結婚」という結婚観が主流の時代でした。私自身もそのように考えていました。だから、男の人を一回も好きになったことがないという発言はまだ学生で若かった私には、いまひとつピンときませんでした。

 

ですから、母親に、「父さんは?父さんのことは好きだと思わなかったの?」と聞くと、「好きだと思ったことはない。」とハッキリ、きっぱりと言われてしまいました。さらに、「じゃあ、なぜ好きになれない人と結婚したの?」と聞くと、「親が決めた結婚相手だから。」というのです。

 

実は我が家の家系は、古いしきたりを守る家系だったらしく、叔父、叔母なども、みな家が決めた相手と無条件に結婚しているのです。さらに、今現在70歳くらいの世代ですと、女性側は当時でいうと数百万円持参金を、嫁ぐ先の家に収めなければいけなかったそうで、父と離婚した母は「あのお金があれば。。」と嘆いていました。離婚するまでは、父方の家が母方の家にお金で結構な迷惑をかけたのではないかと勝手に推測しています。

 

お互いに気に入ったかどうかは関係なく、親が決めた相手と結婚した私の親族たちの末路のもう一つのお話として、70歳の叔父のはなし。その、叔父は、やはり、親の決めた大地主の娘と結婚するように言われ大地主の娘と結婚しましたが、その娘(叔母)が、どうみても、面倒くさそうな人。叔父とは、母のがん闘病と葬式のときに一瞬関わったのですが、ある時、あまりにも叔母がめんどくさそうな人なので、

「大変ですね。あんな奥さんじゃぁ。。」

と、つい、うっかりねぎらってしまいました。

叔父「え!どうして、妻が変な女だって分かるの?」

私「え、見てれば分かりますよ。あんな奥さんじゃ大変だろうなーっていつも思ってましたよ。」

叔父「私は、妻が変な人間だっていうことや、妻の悪口やうわさ話を人前で一切したことがないし、うまくいってないことも誰にもみせてないのに…実はウチの息子も、同じことを言うんだよ。母さんがあんな人で父さんは大変だねって。分かる人には分かるんだな。。妻がおかしな女で大変でしょって、言ってくれたのは長男とららさんさけだよ。」

 

叔父は、本当に寡黙で余計なことを一切言わない人で、たまに言葉を発したとしても、絶対にトラブルや問題を起こさないような言葉を丁寧に選んで、話すようなタイプの人でした。だから、話してくれないかもしれないけど、一応聞いてみました。

 

私「離婚したいと思ったことはないんですか、あんな人じゃ。。」

叔父「そりゃ、何回もあったよ。だけどあんな女でも子供の母親だから、子供が悲しむと思ったら離婚なんか出来ないし、私は、死ぬときは子供が全てだった、子供が命だったと思いながら死にたいんだよ。」

 

普段、寡黙で乱暴な口をきかない叔父から「あんな女」という言葉を聞いただけでとてもびっくりしました。あまりにも強い、憎しみにも似た叔父の語気に、もっと聞いてみたくなって、

私「そんなに叔母さんのことが嫌いなら、叔母さんが叔父さんと離婚して、食えなくなってどこかで野垂れ死んだとしても平気ですか?」

叔父「あー、あんな女、どこでどう野垂れ死のうと知ったことじゃないね。一日中、二人とも家にいても、口をきくことが一切ないような家(で寂しくて仕方がないん)だよ。うちは。」

 

と、40年以上連れ添った、外向きには上手くいっているように見せている夫婦の内情がこれだと知ってしまって、もともと両親の不和で独身主義だった私は、もっと結婚を毛嫌いするようになったのでした。私は20歳くらいで、仕事の関係上40代~70代くらいの人達とプライベートなことをおしゃべりさせていただくことも多くて、結婚7~8年が、元々、性格やライフスタイル、金銭感覚が合わなかった人たちの限界地点で、20年~25年目が子供が成人するまでは耐えたけど、もう耐えられないという人達の限界地点で離婚するというイメージがついてしまいました。

 

そして、離婚も簡単にできるわけではなく、片方が別れたくないと粘った場合は、本当にあちこちに逃げまわるようにして、離婚までこぎつけている姿も見てしまった。あるとき、ある人と何かの話をしていて「いい夫婦なんていない!」と、私が言うと、彼は「いい夫婦はいます!」と、言い返してきました。口には出して言わなかったけど、「夫婦なんて、みなギリギリのバランスで夫婦をたもってるんだよ!金の問題や浮気の問題が起これば、一瞬で憎みあい、いがみ合うのが夫婦!そんなことも知らないの?あなたのとこは、よっぽどいい夫婦なんでしょうけど、20年後に離婚されないように頑張ることだね!」と、心の中で毒づいていました。

 

20歳にして、40代50代の当事者たちから、夫婦の愚痴を沢山聞いてしまった私は、「超現実主義」の夫婦像を持ってしまい、10年もっても、20年目で別れる夫婦もいるし、40年以上連れ添っていても相手に憎しみを持っている夫婦もいる、と結婚の負の部分にばかり目がいってしまう人間になってしまいました。いや、40年連れ添ったからこそ、その過程で憎しみが増幅したのかもしれないとも、推測できます。もっと、早い段階で別れることができれば、もっと小さい憎しみだったかもしれない。

 

私自身は、うっかりミスで、嫌なら籍を抜きゃいいや、くらいの感覚で結婚してしまったけど、籍を入れることで、少なくても夫は私に対して単なる同棲相手から家族っぽい心情に気持ちが変わっているのを見るにつけ、意外と「籍」というものの、メンタル的な魔法の効力ってすごいなーって、驚いていたりします。籍を入れることで、お互いにお互いを守らなければいけないという義務感が、同棲のときより強くなった気がして、紙切れ一枚で、良くも悪くも人の心情って意外と左右されてしまうのだなって、しみじみとしてしまうのです。しきたり婚を免れて本当によかったと思っています。