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女だから言えること | 引きこもり、精神病からの生還

太ったおじさんみたいなおばあさんの皮肉とメロドラマに満ちた遺言。

リストカット(リスカ)女子の就職事情

 以前、少し書きましたが、私は「高円寺さんだから話すけど…」といった打ち明け話をされることが結構あります。そして、しばらく前に会ったのがリストカット女子。

 リストカットとは、カッターやナイフで自分の体、特に手首(リスト)に傷をつける行為のことです。自殺行為といえば自殺自殺行為ですが、色々な人の話を聞くと、目的は自殺ではないように思えることがあります。


「私を見て!」

「私のことを分かって!」

みたいな、自分を苦しめている人物(親や、イジメを受けた同級生など)への、「抗議」の意味が強いように感じました。

「あなたのせいで私はこんなに苦しんでいるのだ!!」

という抗議です。

 

 ですので、「リストカット」とググって画像を探せば、血をダラダラ流している画像が結構出てきます。だって、「抗議」ですから、人に見てもらわないことには始まらないわけです。(本人は衝動的に切ってるだけかもしれないので、はっきりとした意識をもって画像をアップしているかどうかは分かりませんが。)

 

 それで、その30歳のリストカッターの女の子(仮称:忍)は、もう、すでにリストカットは卒業しています。つまり、今はリストカットはしていません。ですが、腕にはバーコードのように過去のリストカットに傷跡が残っています。レベルとしては下の画像程度。手首からひじまで、かなり広範囲に傷跡が残っています。

f:id:koenjilala:20170317115318j:plain

 

 これだけの傷跡が残っていると、当然、腕の傷を隠さなければなりません。忍は1年中、長袖のシャツを着ていて、私と遊びに出るときも必ず長袖の洋服着ています。


 ですが、忍は半そでの制服の大手外食チェーンで長年働いているとのこと。私は、素直に不思議になって、悪気なく、

 

私「えっ、この腕で半袖で働けるの?接客業でしょ?
 てか、雇ってもらえるの?えっ、腕は隠して面接に行ったの?」

 

と、忍ちゃんの傷だらけの腕をなでなでしながら(笑)、素朴な疑問を投げかけてみました。

 

そうしたら、

忍「これだけの傷があったら、隠しきれるわけないぢゃん。
 はじめっから、面接でリスカの痕がありますけどいいですか?って
 聞くんだよ~。だって、あとになってバレてクビになるの、いやぢゃん?」

と、言われました。

 

私「え、それでも雇ってもらえるんだぁ~??」と感心していると、

忍「うん、むしろ、どのくらいのやつ?見せて?って言われて、傷跡を見せたら、
 これくらいなら全然OKって言われたよー。」

私「え、OKつったって、腕じゅう傷だらけじゃん?
  このレベルでもOKなの?」

忍「ちがうちがう。傷の数じゃないよー。傷の古さだよー。
  新しい傷だと真っ赤じゃん。あたしのは肌の色にもどってるじゃん。
  さすがに新しくて傷が真っ赤じゃねー。雇ってもらえないけど、
  あたしのは古いからOKだよー。」

私「あ、そうか。傷が新しいってことは最近やったってことだから
  バイトに入ってからも、リスカやって、休むかもしれんもんねー。」

忍「そうそう、まあ出来たての傷は見た目がグロいし、
  まだ(リストカットを)卒業してないってことだからねー。」

 

 興味深い話でした。雇うがわも「リスカ女子」の扱いに非常に慣れているのです。ということは、「リスカ女子」って世の中に結構多いってことなのかしらとも思いました。過去にも、テニスのリストバンドで傷を隠している女子に手首の傷を見せてもらったこともあります。それくらい、リスカ女子は身近に沢山いるのかなと思ってみたりします。

 この記事を書きながら、私のブログって、ちょっと重くて暗いかなーて思ってみたりしたのですが、「人の一生」なんて重くて暗い面が必ずあるはずですし、人間なんて、最終的には「死」に向かって生きているわけだから、重くないわけがない。

 むしろ、そこの部分の重さを分かち合ってこその、人間関係であり、信頼関係であるとも思ってもいます。だから、何を聞いても驚かないし、否定もしない。そして、その人物が特定されるような形での口外もしない。

 忍ちゃんも、
「この腕を見て、私のことを気持ち悪いと思う人もいるし、引いちゃう人もいる。だけど、高円寺さんみたいに、大変な思いをしても頑張って生きてきたんだねーって言ってくれる人もいる。だから、私はこの傷を恥ずかしくは思っていない。」

と言っていました。

 私も、その言葉を聞いて、忍ちゃんの腕の傷は、大きな試練を乗り越えた若い女性の「勲章」だと思いました。そして、腕に派手な傷跡があっても、採用されるような、そんな柔軟な社会であってほしいとも思いました。

 精神科に通いながらリストカットを繰り返していた忍ですが、今は、アルバイトを二つ掛け持ちして、稼いだお金でジムにかよったり、グルメを楽しんだりと、人生を謳歌しています。そんな彼女の姿から、精神病からの回復は不可能ではないという希望も与えてもらいました。

 人生は「七転び八起き」です。七回ころんでも、八回目で起き上がっていれば、それで、まるっとOKなんじゃないかなーと、本気で思っています。