女だから言えること

中高年のおばちゃんの脳内を日記がてら綴っております。

食べる時に音が出るクチャラー問題について

 食べ物を食べる時に「くちゃくちゃ」と音を立てて食べる人のことを、ネットでは「クチャラー」と呼び、マナーの学習が足りない人として批判する傾向があるようですね。私はこれが苦手です。その理由を2つほど挙げてみたいと思います。

 

口内が狭すぎて噛み方が変だった私

 私は子供の頃、物を食べる時におかしな食べ方をしていたらしく、「猫みたいな変な食べ方をする。」「みっともない。」「行儀が悪い。」と、祖母や親族に怒られていました。昔ですから、自分で自分が食事をしている姿を見ることができるような録画装置はありませんから、自分がどのように食事を食べているかなんて、子供の私には分かりません。

 ただただ、「みっともない。」「行儀が悪い。」と責められるだけで、どうしたらいいのかを教えてくれる人は一人もいませんでした。私は親せきの前で食べ物を食べると怒られるということが嫌になり、親戚の集まりでは、一人だけ食べ物をお皿にとって別の部屋に行って食べるようになりました。

 で、大人になって歯科に行ったりして気づいたことなのですが、私は 舌が短く、口内も狭く、あごも小さく奥歯が生えるスペースがなく、永久歯が普通の人より少なくて、しかも顎関節症だったんです。だから、噛み方がおかしかったんです。

 要するに、歯、舌、口内の空間、あご、全てに問題があって、おかしな噛み方になってたんですね。だけど、「この噛み方は、何かあごや歯に異常があるかもしれないから、この子を歯医者に連れて行ったほうがいい。」という考えに至るような賢い大人が、周囲に一人もいなかったんですよ。

 マナー、行儀、という言葉で一方的に責められるだけで原因を究明しようという発想の人がいなかったの。だから、私は未だにこの「マナー」とか「行儀」とかいう言葉がすごくすごく苦手です。こういった個人的な恨みつらみから偏見を助長するキーワードだと思うようになったからです。

 しかも、私、育児放棄の家庭で育ってますから、親から「しつけ」的なものは一切受けていません。ですから極端に礼儀作法、一般常識を知らず、行儀が悪い、マナーがなってないと言われてたほうの側だったと思うんですよね。

 その辺は、友達や会社の人が教えてくれて、徐々に身についた部分もあるんですけど、未だに身についてない部分もあるので、格式とか様式を重んじる場所にはできるだけ行きたくないですね。

 

クチャラーが大嫌いな人がクチャラーになった時

 私の母は比較的にしつけの良い娘だったらしくて、私が「変な噛み方」をしたり、「くちゃくちゃ」と音を立てて食べ物を食べるのを、強くとがめるような人でした。そして、母自身はクチャラーではありませんでした。

 ですが、母が歳をとってから、一緒に食事をした時、なんと、あのクチャラーに厳しかった母がクチャラーになっていたのです。しかも、本人は気づいていないのです。

 おそらくですが、加齢によって、口内または歯に変化が起こり、口を閉じて噛んでいても、くちゃくちゃと音が出るようになってしまったのだと思います。一応、さりげなく「食べ物を食べる時は、音を立てないほうがいいよね。」と言うと、「そんなの当たり前でしょ。」と言いながら、くちゃくちゃと音を立てて食べるのです。

 正直、「母さん、あなた、くちゃくちゃ言わせながら食べてるよ。」とは、かわいそうで言えませんでした。もし、歯やあごに異常があるとして、それを治すお金を母は出せないし、私も出せないので、黙っていました。

 看護や介護の仕事に就いていらっしゃる方なら、老人にクチャラーが多いことはご存知だと思います。やはり、あごの筋肉や歯の状態や、咀嚼の強さが老化によって衰えているんだと思うんですよね。で、私も最近、飲み込む力が弱くなってきたので、舌の体操をしてるんですけど、いつナチュラル老化型クチャラーになるか分からないんですよ。

 ついでに、母は田舎者なのでスパゲティを食べる時はズルズルと音を立てて食べていました。「スパゲティは音を立てて食べないほうがいいよ。こうやって巻いて食べるんだよ。」と、母に教えても、巻くのも音を立てずに食べるのも(不器用だからか、理解できないからか)できなくて、スパゲティーは一生、フォークで巻くこともなく、音を立てて食べてましたね。若い頃は、そんな母と外食するのが恥ずかしかったですけど、そんなに頻繁でもないし、途中から気にならなくなりましたね。

 母は自宅でナポリタンを作っても、箸ですすって食べる人でしたから、フォークで巻くという発想はなかったと思います。戦時中を体験しているくらい古い人ですから、洋食の時はドギマギしていて、ファミレスでさえナイフとフォークを使うのに緊張していました。それに、母は自分の居住する田舎町から出るような特別な時でなければ外食をしない人でしたし、多くても年に数回しか町を出ない人でしたから、外食することもほとんどありませんでした。ですから、洋食のマナーなど身につける必要のない人だったんですよね。

 逆に言えば、フォークとナイフに苦手意識があって洋食屋に入る時には、かなり緊張していたのではないかと思います。娘の私が行きたがるから無理して付き合ってくれたのかもしれません。この話を箸に置き換えた時、あなたはどう思いますか?

 例えば箸を使い慣れていない帰国子女が見た目は日本人だから事情も聞かれず、箸の使い方が下手だと見下されていたら…と思いませんか?

隙あらば相手を見下し馬鹿にしたい人達

 実際に日本語や漢字が完璧でない帰国子女が周囲(の日本人)にからかわれていたのを見たことがあります。彼女は帰国子女なので英語が堪能ですし、日本語も一見、日本で育ったように見えるくらいに堪能でした。ですが、日本語で少し知らない単語や言い回しも当然ありました。海外で長年暮らしていたわけですから。

 逆に日本語が堪能だからこそ帰国子女だと気づかれず、些細な日本語の間違いで、からかわれる羽目になっていたのです。人間とはチャンスさえあれば相手をバカにし、マウントをとりたいものなのだなぁと、あの時に思いました。

 欧米人では(不器用で)スパゲティを巻くことができず、ナイフで短く切ってフォークにのせて食べる人たちもいますから、「マナーってなんなんッスか?」っていう話は、本当にむつかしい。

 あと、フレンチとかだと、もう、はなから「(ナイフとフォークは食べにくいから)箸持ってきて。」って言うお客さんもいますから、もう、みんな好きなように食べりゃいいんじゃないっすかね?みたいな考えにもなってきましたね。

 

結果には原因がある 

 マナー、行儀、常識、といったようなことは文化、地域、個人によって主軸としているものが違います。さらにそれに合わせられない原因は、個人の生活習慣が原因の場合もありますが、個人の脳の特徴、身体的な特徴でどうしてもその仕草ができない場合もあります。

 だから、起こっている現象だけをとらえて、「マナー(行儀)が悪い。」「育ちが悪い。」と言うのは、早計だと思うんですよ。相手のことを本気で想っているなら、どうしてその現象が起きているのかまで考えて、コミュニケーションを取ったほうがいいと思うんです。 身体特徴的に、脳の構造的にその地域のマナーに即した行動ができない人もいるんですよ。そこは理解をしてほしい

 さらに言うなら、その地域(国家)のマナーに即した行動ができなければ、馬鹿にしてもいい、見下してもいい、なんなら攻撃してもいいという態度の人達がネット上では散見されます。そういった意見を見るにつけ、人の気持ちとマナーのどっちが大事なの?と思ってしまいます。人を見下してまで押し付けなければならないマナーって…貴族かよ!ってね。

案外マナービジネスって儲かるのかも

 私は秘書技能検定2級という資格を持っていますが、この資格は敬語(丁寧語と謙譲語違いなども含む)、冠婚葬祭マナー、ビジネスマナー全般に渡って網羅している資格です。その秘書検のマナーも定期的に書き換わります。なぜなら時代の流れとともにマナーが変わるからです。

 ではなぜマナーが変わるかというと

マナー講師と新たなマナーの発明が絶えない理由がブコメのおかげでよくわかった

 とブコメがありましたが、マナー教室業界が儲かるというのも一つの理由でしょう。ファッション業界と同様に、「これこそが正しい(最先端のファッション/マナー)!」という論を展開してファンを付けなければ儲からないわけですから。マナーが変わったことにして新しい本を出版したり、講演会/セミナーを開いたりして、「あなたのマナーはもう古い!」とか言って脅かせば買う人はいるでしょからね。

 ファッション業界に至っては、同じものをずっと着られちゃ商売になりませんから、業界でワンシーズンごとの流行を決めて、その情報をスタイリストに売ったりする戦略なんかもとってますからね。こちらも「流行遅れ」とかいう言葉で脅かせば、買う層がいるでしょうからね。私は個人的にこういう商業戦略にのせられるのが好きじゃないし、お金もないので追いませんがね。

 アルプスの少女ハイジというアニメで、ハイジがクララの家でめちゃ厳しくマナーを叩き込まれ、悲しそうにするシーンがあります。だけど、あれは彼女がもしアルプスに戻るなら必要のない教育に見えました。その後、クララの家に遊びに行くなどの理由で上流階級と食事をするにしても、少々ルールからはずれたっていいじゃない?滅多にあることじゃないんだから…と思ったりします。

 上流階級の男性と結婚するとかなら、出来たほうがその後の苦労が減るかもわかりませんが、田舎の人のままなら必要ない訓練ですよね。のびのびと生きることのほうが好きなタイプなわけですから。

 私自身は庶民だし労働者階級なので、貴族なみのマナーを求められる場にはすすんでは行きませんし、相手方の要望に合わせて気取った店に行く場合のみ、多少は格好やテーブルマナーを気にする程度です。まあ、たまに行くだけなら盛り付けが格好良くて楽しいですね、私が行ける程度の気取った店は。

 

おわり