女だから言えること

「差別意識」は発達障害/機能不全家族/虐待/ジェンダーと密接につながっている

岡村氏のラジオ番組をきっかけに風俗業界を評価する人々

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私の周囲の人のSEXワークに関する視点

さて、この記事で性風俗に詳しい人たちと、うとい人達で全く見解が分かれています。まず、私自身の周囲の人々に見られるSEXワークに対するイメージを列挙しておきます。

  1. SEXワークは汚い仕事、卑しい仕事なのでダメ
  2. SEXワークは性病が危険なので禁止したほうがよい
  3. SEXワークは一つの職業だが、配偶者やパートナーが利用するのはダメ
  4. SEXワークは私的には肯定されても良いが、公に話されるべきではない
  5. SEXワークに主体的に就業したい人たちのために合法化して法整備してほしい
  6. SEXワークは需要があるし、性犯罪抑制につながるから賛成
  7. SEXワークはまともな仕事がない人たちが落ちていく職業(男娼も含まれているかは謎)

ぱっと思いつくだけだと、このような感覚の人達が私の周囲にはいます。

どこからが「性風俗」かは人によって異なる

また、「風俗」という言葉がやっかいな言葉で、性風俗の業界に多少の知識がある人は「風俗=ソープ」と想像するのですが、性風俗に全く興味のない男女は「風俗=スナック、高級クラブ、ソープなどの性に関する全てのサービス業」と想像する人もいます。性潔癖の女性だと、エロ本やエロ動画でさえも「浮気」や「風俗」の領域に入れていたりします。ですから、性風俗の話を他人とするときは、

  • スナック
  • キャバクラ
  • クラブ
  • ホストクラブ
  • イメクラ
  • SMクラブ/SMバー
  • ピンサロ
  • ソープ
  • エロ本
  • エロ動画

などのサービスを、相手がどう認識しており、どこからが「風俗」だと認識しているのかを確認したほうが無難です。特に性潔癖の人や嫉妬深い人は、これら全てを「風俗」「浮気」と捉えているケースが多いので、確認しないと本当に話が噛み合いません。女同士でも知識のある人とない人では、全く話が噛み合いませんからね。

職業に貴賤はあるのか、ないのか

 少し前、100日後に死ぬ○○といった本の「金の稼ぎ方」がきれいか汚いかというお話がありました。それと同様にセックスワークは汚いと捉える人々もいます。高い仕事からSEXワークという「低い」仕事に「落ちる」と捉える人もいます。

 また、逆に高級クラブや高級娼婦の業界を知っている方たちは、いやいやめちゃ能力が必要で優秀で空気の読める人たちの仕事だろ?と思っていると思います。

 こういった話もまた、高級クラブのママさんをイメージしたり、20年ほどデリヘル嬢として勤務していたアボット氏の容姿を知ったりすることで、自分の想像力を育てていく必要があるのではないかと思います。

 ちなみに、こちらが風俗嬢歴20年のアボットさん。

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 アボット氏の所属するお店は「どんな女性でも絶対に面接で不合格にしません」というお店です。そして、破格の安さで性サービスを提供するお店。

高級ならきれいな仕事で下級なら汚い仕事?

 要するに、風俗嬢にも階層があり、底辺労働者とセレブ労働者がいるということなのです。上記の記事や、そのブコメ群はセックスワーカー内での労働者階層を考慮に入れていないと言えます。岡村氏は「美女」が高級娼婦になるだろうと言っているのか、「美女」が生活に困って下級の娼婦になるだろうと言っているのか、上記の記事だけでは分からないということです。

 風俗業界そのものや風俗情報誌もゾーニングがきちんとなされているので、積極的に情報を集めにいかないとなかなか情報が集まってこない世界です。特に女性に多いのですが、情報を集めもせずに、高級娼婦だけを想定して、あるいは下級娼婦だけを想定して話をすすめるのは、あまりに早計だと感じます。

 何事も情報収集が大切ですよ。また、日本の風俗業界ですと人種によっても階層があると思いますよ。ロシア人、ルーマニア人、フィリピン人、日本人、韓国人、中国人などなど、色んな方たちが働いていますからね。

 アボット氏は、いわゆる感動ポルノを売りにする側面もあったのではないかと思います。だからこそ、20年も同じ業種で仕事を続けるプロになれたのではなかろうかと思います。売り文句は「歯なし、家なし、常識なし」ですからね。そういった意味で「自己演出」が上手だったでしょうし、お店(所属事務所)のプロデュースも上手だったのかもしれませんね。

職業意識の高いソープ嬢

 ちなみにアボット氏とは別に、全く違う地方都市に住まうソープ嬢で最上級のオーラルSEXをお客様に提供するために、歯を全て抜いたというプロ意識の高いソープ嬢がいると聞いたことがあります。もう、その職業を研ぎ澄ましていくと決めていらっしゃる女性だったのでしょうね。

 私も風俗業界に詳しいわけではありませんが、多少は風俗業界について真面目に考えていただきたいと思い、この記事を書いてみました。そういった前提のもとに、売春を合法化するか、人権との兼ね合いは?といったようなことを考えていく必要があると思います。

性風俗業界の労働環境

 また、残念ながらSEXワーカーに対する偏見が強いのが現在の日本の現状ですから、今現在SEXワークに従事しようとされる方々は、偏見にさらされる覚悟を持つか、自らの職業を隠しながら就労することを余儀なくされるのが実情です。労働環境が整えられていない職場/職種で就労することのリスクは取らざるを得ないのが現状なんですよね。

 また、SEXワークが合法化されたとしても、高級娼婦は好待遇を受け、下級娼婦はつらい思いをする、といったことは簡単に想像がつきます。

なぜ男性の売春は話題になりにくいの?

ちなみに世界にも日本にも「男娼」も結構いますからね。日本の男娼は、ストレートだけどお金のために男性(同性愛者)に体を売っているという話も聞きましたし、それを取り扱ったドキュメンタリー映画が話題になったこともあります。ですから、なぜ、世間はことさら女性の売春にのみ焦点を当てるのかも疑問です。貧困男性の売春についてはノータッチ?という疑問は感じざるを得ません。

歴史的に課題の多い売春の扱い方

 実際に、どの国にも売春婦や男娼の性風俗の歴史はあったはずですから、

  • SEXワーク自体の是非
  • SEXワーク労働者内での階層
  • SEXワークに対する偏見にどう対処するか?
  • SEXワーカーの労働環境の整備
  • 本人が主体的に選んだ職種か?

といった問題は元来別々な問題で、その個別の問題にどのように対処できるかが今後の課題なのだと思います。

公の場で言葉を発するということ

 最初の記事に話を戻すと、この記事のこの文言だけを見ると、コロナウイルスの影響で、平時なら一般的な仕事に就業している容姿端麗な女性が、生活に困窮して(不本意ながらも)お手頃価格の下級風俗嬢(つまりは人間ではないただの商品)としてこぼれ落ちてきてくれるのでは?と読み取れてしまうのが問題なのだと思います。

 誇りを持って、選択的に主体的に性風俗業を選んで働く風俗内階層の高い就労者なら、コロナ流行の前でも最中でも後でも関係なく就業しますよね?コロナが収束した後を指定するということは、本来なら性風俗業界に来ないであろう人すら経済的に困窮して労働環境の劣悪な下層のほうのソープに就業してくれるだろうという願望がある、と見えちゃうのは仕方ないことなのよね。そして、そこには職業差別あると読み取られてしまうのよね。岡村氏本人が意図しているいない、自覚しているしていないということとは別の話として、表現手法の問題なのよね。

「人権」「労働」と「性行為の商品化」のはざまで

 2020年の4月現在では、まだ「SEXワーク」はグレーな業種で、(法整備や社会保険などの)労働環境の整備がなされているのか不明な、就労者の身の安全が保障されるかさえ分からない業種です。さらにはその待遇や客層が上流と下層に分かれていて、下層がひどい労働環境に置かれる可能性がある中で、私自身は自分の男女の友人達に性風俗で働くことは推薦できません。だからといって、その職種を否定する気もありませんし、岡村氏を断罪する気にもなれません。「飲み屋で友達と話しとけばよかったのにね」って程度です。

 人間も魚も同じ商品ではないかという問いには、人間には日本国憲法で「基本的人権」が保障されていますが、魚には人権が保障されてないとお伝えしておきましょう。「基本的人権」と「性行為の商品化」の兼ね合い、つまりは安全性について言及するならまだしも、魚のような人権のない商品と比べるのはちょっと人権意識が低いのでは?とは思います。販売者と消費者の市場原理は今回の本筋ではないので省略!

 人間には「内心の自由」という心の中で何を思っても良いという自由もあります。これもまた人間の権利です。ですから「職業選択の自由」と「内心の自由」の兼ね合いから考えると、SPA!やフラッシュのようなオヤジ雑誌や、そこらへんのいっぱい飲み屋で話さてれいるならともかく、公共の電波に乗せて有名人が言ったとなると波紋を呼ぶのは当然のことなんですよね。

テレビ・ラジオは「放送法」が適応される

 また、日本は法治国家ですから放送法の観点からみると、雑誌、漫画、書籍や映画などの(直接的に)お金を払った有償サービスで表現されたか、公共の電波で発せられたかで意味が違ってくるんですよね。ラジオ、テレビは時間帯に関わらず放送法が適応されちゃうから、このような差別発言が起こると管理者のクビも危険にさらされるわけですよ。だから、放送局が真っ先に謝ったでしょ?管理者が処分を受けたら番組自体がなくなる可能性も高まりますが、番組を愛するリスナーたちはそれでいいの?という疑問はありますね。

 有名人とは公人とまでは言えなくても、それに近い立場なわけですからね。「俺はアウトローなんだから、怒られるの覚悟でやってるんだよ!」ってなら、好きにすりゃいいという感じです。私だって品行方正な人間ではないですから、人のことをとやかく言える立場ではありませんし。

 なんというか、人権と労働と、性とのかかわりって、本当にむつかしいですねー。一つの答えがなく落としどころを探すことしかできない課題というのは本当に扱いがむつかしい。

 

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【追記】売春ボーイズはお金のために同性愛者に体を売る、異性愛者の男の子達のドキュメンタリー映画です。

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