女だから言えること

老いとともに。

勝間氏のカミングアウトを見てLGBTについて思い出した事

 時々25年前にシドニーに住んでいたことを書いているのですが、当時、シドニーは一部の人たちに「The Sex City(性に奔放な街)」と揶揄されるほどに、(カミングアウトした)LGBTが多い都市でした。

 当時は、一般市民レベルでは、シドニー(豪)、ロスアンゼルス(米)にゲイが多いと言われていて、その後、シンガポールが性に関して寛容な国という噂でした。この頃は、まだインターネットは普及しておらず、コンピューターが使いこなせる一部の人たちが使っていた程度でしたから、こういった情報のほとんどは口頭での噂が主流だったんですね。(だから、真偽の程は分かりません。)

 現在の米国でLGBTが多い都市はサンフランシスコのようですが、当時はロスという噂でした。恐らくですけど、現代はインターネットの普及で情報が集めやすくなったため、LGBTにとって住みやすい環境作りをした街にLGBTが集まりやすいのかな?と推測しています。

国・都市・人によって感覚が違う

 例えば、当時のシドニーでも、革新的な人はLGBTに非常に理解があったのですが、性に保守的な人達は「セックスシティ」と揶揄され、ヌーディストビーチがいくつか存在し、マルディグラパレードが開催されているといったような事を快く思っていませんでした。

 また、ロンドンも最近はわりとLGBTが多いと言われていましたが、当時、30歳前後のイギリス人とおしゃべりしてる時に「エルトンジョンがゲイであることをカミングアウトしたとたんに、ウチの母がエルトンジョン好きだったのにー(嫌いになった)。とか言うんだよ。ホント、イギリスは保守的。同性を好きになろうが、異性を好きになろうが、バイだろうが、トランスジェンダーだろうが、嫌われる理由にはならんだろ!?何でいちいち同性が好きか、異性が好きか他人に報告しなきゃいけないんだよ。そんなプライベートなこと、人に言う必要ないだろ!」

って、怒ってました。

マドンナは嫌わていた?

 また、当時、あるアメリカ人とおしゃべりしていて「私、マドンナが大好き!」って言ったら、そのアメリカ人は苦々しい顔をして本当にイヤそうに「マドンナは狂ってる。」って言ったんですよね。

 マドンナは、公衆の面前で下着同然の格好でパフォーマンスを始めた元祖のような人だったんじゃないかな?当時はアメリカでも比較的タブーだった「セックス」の表現を公に始めた人だったような記憶があります。だから、抗議にあって公演中止とか、わりとあったんですよ。

 でも、言ってることはとても大切なことで、公演も「safe sex(安全なセックス)」がテーマとなっており、エイズなどの性感染症から人々を守るための予防措置を講じる性的啓蒙活動に準じたものだったんですよね。そんな大切な活動なわけですから、個人的には公演中止になるいわれはないと思えるんですけどね。でも、アメリカって保守と革新の対立がすごくて、マドンナは保守からは相当に嫌われてたみたいです。

 まあ、こういった性的な保守派は宗教と密接に関わっているっぽいんですけど、私はそこらへんはよく知らないので、ここでは書かないでおきます。

同性愛が当然の前提とされていた社会

 世界的にみるとまだ、そんな状態だったんですけど、シドニーでは知り合った人たちは「僕の彼氏がね…」「あたしの彼女がね…」なんて、普通に話してくれてたんですよね。

 私が行きつけのカフェで、スタッフのお姉さんが私によく話しかけてくれるので、別のスタッフBさんに「彼女は優しい人ね」って言ったことがあるんですね。そうすると、「ああ、彼女はガールフレンドと一緒に住んでるよ(パートナーがいるよ)」って教えてくれたんです。

 その時は、なんでその返しだったのか良く分かってなかったんですけど、ずいぶん後になって、私がレズビアンだと勘違いしたスタッフBさんが「彼女にはガールフレンド(パートナー)がいるから、あきらめたほうがいいよ。」って意味で教えてくれたのだと気づきました。

 一部の人たちの間では、同性の恋愛がそれくらいには認知されてたんですよね。だから「僕の彼氏が~」とか、「あたしの彼女が~」とかいう話が普通になされてたんですよ。私の家の近くに2件ほどゲイ(レズビアンもかな?)のナンパスポットだと言われるバーもありましたし、今どきはそんなもんなんだーって思ってました。

売春も男女ともしていた

 私がシドニーで働ていた場所は、日本で言うところの新宿二丁目と六本木を足したような歓楽街でした。キングスクロス駅という駅の近くの通りでした。東京ほど人口が密集してませんから、東京の街ほどは大きくありませんでしたが、色んなことが起こっていました。

 私の勤務先の前で、背の低い小柄な男性が、身長が190センチくらいあるセクシーな女装をした男性にグーで殴られてたりしました。多分、売春の支払いについて揉めていたのではなかろうかと推測していました。

 その街から少し外れたところに、有名な売春通りがあって、夕方以降になると方側は女性の売春婦、もう片側は男娼が並んでいるという噂でした。私は、店の前で上記のようなトラブルを見てしまったので、夕方以降は怖くてその通りを歩いたことはありませんが、ギリギリ夕方になりかけた時間にうっかり通ったら、ちらほらと売春目的の方たちが立ち始めていて、ああ本当にここは売春通りなのだと思いました。

 ちなみに、その通りは裏通りとか歓楽街ではなく、普通の大きなストリートだったような気がします。勤務先から主要駅まで健康のために歩こうと思って昼間によく歩いていたのですが、本当に普通の通りでした。

ゲイっぽいけど結婚してる人

 私にとっては知り合い程度のご近所さんの南欧人男性が日本の芸能人でいうと「カバちゃん」みたいな話し方とふるまいをするので、私はてっきり彼はゲイだと思っていました。あ、ちなみに服装は女装ではなく、おしゃれな男装ね。

 だけど、ある時、友達とかわいい服の多い古着屋にいると、その南欧人の彼が妻と赤ちゃんと一緒に店に入ってきて、「ハーイ、トム」って言うと、「ハーイ、らら、こちら、僕の妻と子供だよ!」って言うんですよ。あれ?ゲイだと思ってたけど違うんだ…とは口には出さず、「あー、子供いたんだー。」みたいな感じになりました。

 ご近所さんなので、私のルームシェアのシェアメイトもその南欧人男性を知っていたので、その話をすると「あれ?彼はゲイじゃないの?」と逆に質問されてしまいました。私はその質問に、「さあ?」としか答えられませんでした。「妻と子供はいるみたいだけど、どういうセクシュアリティかは全く分からない。」という話をすることしか私にはできなかったのです。

自国から避難してきた可能性

 これは、個人的な見解なのですが私が知り合ったゲイ・レズビアン方々は南米、南欧、アジアの方たちが多くて、自国の宗教・文化が同性愛、バイ、トランスジェンダーに厳しいから、その迫害から逃れてオーストラリアに移民してきていたのではなかろうか?と感じていました。特にカトリックは同性愛や離婚を認めていませんから、カトリックの強い国のLGBTの方々が性的難民として自国を逃れてきていたように感じたりもしました。

 私自身は、あまり彼らのセクシュアリティに首を突っ込んではいけないと思っていたので、そこら辺の事情は全く当事者に聞いたことがありません。ですから、これは全くの私の推測ですのでご容赦を。

ゲイだと勘違いされて振られた男子

 じゃあ、オーストラリア人、あるいはシドニー在住者がみなそんなに同性愛にオープンで寛容かと言えば、そうでもなかったんですよね。私のボーイフレンドがゲイの上司と仲良しでちょくちょく二人で遊びに出かけていて、彼自身もゲイだという噂が近所で流れてたんですよ。で、彼の親友に「彼って、ゲイなの?」って聞いたんですけど、「彼は元カノにゲイだと思われて振られた。」とだけ聞きました。で、結局、ゲイなのか、バイなのか、ストレートなのかの答えは教えてもらえませんでした。

 で、そのボーイフレンドが、ある時「らら、僕はゲイじゃない。元カノは僕のことをゲイだと思い込んで、それが理由で振られたんだ。」と、聞いてもないのに言い始めたんですよね。聞いてもないのにそんなことを言い始めたから、逆に疑ってしまったんだけど、「私は別に、あなたがゲイでも、バイセクシュアルでも関係ないよ。ただHIVは怖いから、(男性と性的関係と持つときは)コンドームは使ったほうがいいと思う。」とだけ伝えました。

まとめ

 まあ、そんな体験をしたことがあったので、勝間さんのカミングアウトとか見てると、わざわざ同性愛をカミングアウトしなきゃいけない社会って窮屈だなーって思いました。だって、相手がどんなセクシュアリティだろうが、わざわざ言う必要も、聞く必要もないと思うんですよね。

 私が、わざわざ「私、異性愛者です。」ってカミングアウトしない、「あなたは、異性愛者ですか?」と質問されないのと同じことです。少なくとも私が生活の中で関わってきたコミュニティーでは、色んなセクシュアリティの人がいるという前提で、恋愛についてフランクに語りあっていました。個人的には、そのくらいにゆるくて気楽な社会のほうが好きですね。

おわり